さくらインターネットのレンタルサーバには、ライト~スタンダード~マネージドまで幅広いプランが用意されています。dtn.jpも、ここ数年はさくらのレンタルサーバで最上位プランに位置している「マネージドサーバ」プランを利用して運営をしておりました。

2022年10月のさくらのレンタルサーバプラン一覧
2022年10月のレンタルサーバプラン一覧

この20年間、某社のレンタルサーバ最安プランから始めて、その上位プラン、格安VPS、上位VPSプランとサーバ変更を繰り返してきましたが、仕事が忙しくなったことや、VPSでの運営にも疲れ切っていたこともあり、「レンタルサーバーの使いやすさと、専用サーバーの高性能・安定性・大容量を兼ね備えた、1台まるごと専有のいいとこ取りスペシャルプラン。」という言葉に当時はひかれて、少々お高いマネージドサーバプランを使い始めていました。

その結果、マネージドサーバに移って以降は、VPSのプロセスエラー等に悩まされることもなくなり、Yahoo APIやGoogleAPI、twitter APIやInstagram APIなどで集めたデータを好き勝手にDBに貯めまくり、そのデータを使ったサイトを作ったりもしてきましたが、数百万レコードのDBテーブルを何個作ってもビクともしない安定性もあり、本当に満足した日々を送ることができました。

とはいえ、申し込みしたのは「2015年の11月」です。あれから、あっという間に7年くらい経ってしまったので、ハード的な問題以外にも、ソフト的な問題まで最近は気になりつつありました。

そんなとき、「New さくらのレンタルサーバ」という宣伝文句で、SSD化をはじめとした機材刷新により、従来のレンタルサーバーと比較して5倍も高速化を実現した新サーバが提供され始めたといったお知らせを見てしまい、これ以上高いお金を払って古サーバを借りるのはやってられないと思いまして、プラン変更作業をスタートしはじめ、先日やっと移行作業を終えることができました。

さくらの新レンタルサーバが高速化を実現
さくらの新レンタルサーバが高速化を実現

そこで、この記事では、7年近く使った1台まるごと専有の「さくらのマネージドサーバ」と、最新の「さくらのビジネスプロサーバ」のスペック比較、パフォーマンス比較という、多分誰もやることもないであろう比較をやってみようと思いました。

そもそも、占有プランと共用プランという大きな違いもあるのですが、結果どうなったか興味がある方は以下をお読みください。

サーバスペック比較

マネージドサーバ(2015年11月契約)

2015年11月に契約したマネージドサーバのスペックがこちらです。

項目サーバスペック
CPUWestmere E56xx/L56xx/X56xx (Nehalem-C)
メモリ容量14GB
DISKHDD(HDDプラン)
OSバージョンFreeBSD 9.1-RELEASE-p24 amd64
WebサーバーApache/2.4.54
Perlのバージョン5.14.4
PHPのバージョン8.0
MySQL5.5.38
2015年11月に契約したマネージドサーバのスペック

CPUのNehalemアーキテクチャは、2008年頃に発売された45nmプロセスルールのCPUです。先日発表された「iPhone 14 Pro」に搭載された「A16 Bionic」が4nmプロセスルールとかなので、今となっては相当古い印象があります。

OSは最後までFreeBSD9.1のままでした。さくらのレンタルサーバでは、2019年頃から9.x系から11.x系へのFreeBSDアップデートサービスを大規模に実施もしていましたが、このマネージドサーバは最後まで変わらずのままでした。MySQLも同様で、バージョンアップについてサポセンにも一度確認をしたことがありましたが、検討はしているものの、慎重に考えてますので…という歯切れの悪い返答ではありました。このため、WordPress推奨の5.7にも対応させることができませんでした。

一人一台を占有ということもあり、たった一人にそんなに手をかけることもできないので、そんなに言うなら、価格安くて速度も速い新サーバがあるから、そっちに早く移ってくれよ~という感じなんでしょう。

ビジネスプロサーバ(2022年7月契約)

こちらは2022年7月に契約したビジネスプロプランのサーバスペックです。

項目サーバスペック
CPUIntel Xeon Processor (Cascadelake)
メモリ容量32GB
DISKSSD
OSバージョンFreeBSD 13.0-RELEASE-p12 amd64
WebサーバーApache/2.4.54
Perlのバージョン5.32.1
PHPのバージョン8.0.21
MySQL5.7.36
2022年7月に契約したビジネスプロサーバのスペック

Cascade Lakeは2019年に発売された14nmプロセスルールのCPUです。intel最新の第12世代CPUでも10nmプロセスなので、今時のCPUという印象です。

OSはFreeBSDプロジェクトが正式にサポートしている13.x系となりました。MySQLも5.7系となり、WordPressのサイトヘルスステータスの表示も「良好」になってくれました。久々見たこの表示に少し嬉しくなってしまいました。

WordPressのサイトヘルステータスが良好になりました
WordPressのサイトヘルスステータス

旧マネージドサーバと新ビジネスプロサーバの速度比較

New さくらのレンタルサーバ」という宣伝をしまくるだけはあり、DNS切り替え後、体感でもサイトが早くなった感じがしました。SSD化の効果も大きいのかもしれないです。

マネージドサーバにはまだコンテンツデータが残っているので、試しに実際のサイトデータを作って表示速度を比較してみました。

画像データが少なく、テキストデータがほとんどで、かつ、少々重いDBアクセスがあるサイト「ツイータン」を使って比較をしてみることにしました。10分おきに集信していたツイートデータの件数は、マネージドサーバ側はcronを早々に止めてしまったので「7,673,296」件で止まっていましたが、ビジネスプロサーバ側は「7,922,346」までレコードが増えておりました。そのあたりは誤差の範囲ということで比較をやってみます。

Chromeのデベロッパーツールで速度比較

Google Chromeのデベロッパーツールを使い、ブラウザのページ読み込みパフォーマンスを比較してみます。いちおうChromeの閲覧履歴データを毎回削除しつつ、旧マネージドサーバと新ビジネスプロサーバの両方にアクセスしてみます。

マネージドサーバ(2015年11月契約)でのtweetan閲覧速度

使わなくなったマネージドサーバで「ツイータン」を表示してみます。DNS切り替え後なのでアクセスもなく、10分毎にサーバで走らせていたAPIデータ取得用の各種バッチ処理も走らない状態なので、以前よりもかなりさくさく表示をしてくれます。

結果、ロード時間は「Load:5.28s」でした。

indexページでは、SQLに貯めたデータから当日分のハッシュタグデータをランキングで抽出してカルーセルにしたり、当月の人気ハッシュタグデータをカレンダーテーブルと結合つつランキングにしたりと、かなり重い処理をしているのですが、1台まるごと専有サーバのリソースをフル活用してサクッと表示してくれます。

マネージドサーバで「ツイータン」を開いた結果
マネージドサーバで「ツイータン」を開いた結果

ビジネスプロサーバ(2022年7月契約)でのtweetan閲覧速度

DNS切り替え後のため、「tweetan.dtn.jp」に普通にアクセスをしてビジネスプロサーバ側を表示してみます。

ビジネスプロサーバで「ツイータン」を開いた結果
ビジネスプロサーバで「ツイータン」を開いた結果

サイト下部にある訪問者表示が1人となっていて、10分おきに走るCronも走らないようなタイミングを見計らって表示させてみました。

結果、ロード時間は「Load:3.58s」でした。

数値も多少良くなっていますが、一人一台占有のマネージドサーバとは異なり、こちらは1台を複数人で共用するビジネスプロのサーバです。

コンソールでアクセスすると同居人がチラ見できますが、法人ぽいアカウント名も結構あるようなので、それでも1台占有よりパフォーマンスが良いというのは驚きでした。法人サイトということは、個人運営dtn.jpのような過疎ったサイトでもないでしょうから、ますますレンタルサーバハードウェアの進化を感じてしまいます。

ビジネスプロサーバの同居人(users)が結構みえます。
ビジネスプロサーバの同居人(users)が結構みえます。

PageSpeed Insightsで速度比較

次は、サイト速度マニアにおなじみの「PageSpeed Insights」で数値チェックもしてみました。

マネージドサーバ(2015年11月契約)をPageSpeed Insightsでチェック

先ほど同様に、使わなくなったマネージドサーバ側の「ツイータン」をPageSpeed Insightsでチェックしてみます。

マネージドサーバ側「ツイータン」のパフォーマンスは52
マネージドサーバ側「ツイータン」のパフォーマンスは52

結果、パフォーマンスは携帯電話で「52」、デスクトップで「87」でした。DNS切り替え前はもう少し低い数値だったと思いますが、サーバ負荷もない状態なので、そこそこ良い数値がでてくれました。

ビジネスプロサーバ(2022年7月契約)をPageSpeed Insightsでチェック

新しいビジネスプロサーバで動いている「tweetan.dtn.jp」をPageSpeed Insightsでチェックしてみます。

ビジネスプロサーバ側「ツイータン」のパフォーマンスは58
ビジネスプロサーバ側「ツイータン」のパフォーマンスは58

結果、パフォーマンスは携帯電話で「58」、デスクトップで「89」と少し良い値がでてくれました。PageSpeed Insightsで数値が良くなっているので、Googleの評価にも一定の良い影響がありそうです。

旧マネージドサーバと新ビジネスプロサーバの速度比較結論

さくらインターネットのブログでは下のような図が公開されてありました。元々使っていた2015年11月契約のマネージドサーバは第1世代サーバに該当し、新しく契約したビジネスプロサーバは第3世代サーバということになるようです。第1世代サーバと第3世代サーバでは5倍の性能差があるということのようです。

最新サーバと旧サーバのスペック比較イメージ
最新サーバと旧サーバのスペック比較イメージ

一方、今回比較をした二つのプランの月次サーバ代を比較すると、このような価格差がありました。2倍以上の金額差です。

プラン月払い金額
ビジネスプロプラン毎月払い:4,714円
さくらのマネージドサーバ HDDプラン毎月払い:13,200円
ビジネスプロとマネージドサーバプランの金額比較

結局のところ、契約した当初は満足度が高かったものの、「Newさくらのレンタルサーバ」のような新しいサービスが提供された今となってしまっては、めちゃくちゃコスパが悪い状況になってしまっていたということがハッキリ分かりました。賃貸住宅と似たようなもので、一定程度使って古くなってきたと感じたのであれば、引っ越しをするということが必要ということなのでしょう。当たり前の結果で申し訳ありません。

もちろん、私も数年前頃からプラン変更は考え続けていて、サポセンからそっけない返事を受けた時には、本気でプラン変更をやってやろうと思ってはいたのですが、やっつけで書いてきたプログラムの修正や、サーバに組み込んだプラグイン再構築、大量SQLデータ移行をする気力がまったくなく、ずるずると先日まで使い続けてしまいました。

似たような状況の方はまずいないでしょうが、さくらの古い上位プランをお使いの方がいらっしゃるのであれば、「Newさくらのレンタルサーバ」の下位プランであっても、性能も良い、かつ、コストもかからないものとなっているので、是非プラン変更をご検討ください。